読谷山ミンサーとは
読谷山(よみたんざん)ミンサーとは、沖縄の読谷村周辺で生産されている紋織物の一種です。
ミンサーの”ミン”は木綿、”サー”は狭いという意味があり、その名のとおり、木綿糸で織った細帯を指します。
読谷山ミンサーは、竹串(グーシ)を使用し、経糸を拾いながら紋を作る”グーシバナ技法”による紋織物で、“グーシー花織”ともいいます。
1976年に国の伝統的工芸品に指定されました。
一時は幻となった読谷山ミンサーの技法が読谷村の古老により復活
読谷山ミンサーの技術はアフガニスタンにルーツがあり、チベット、中国を経由し沖縄に伝えられ発展したものといわれています。日本に伝えられた時期の詳細については特定されていませんが、読谷村花織と同時期で、およそ600年前といわれています。
琉球は古くより中国や東南アジアとの交易が盛んでした。読谷山ミンサーのもとになった技法も、それらの国々との交易品とともに伝えられたと考えられています。
琉球での綿の栽培は、1611年、儀間真常(ぎましんじょう)が薩摩から琉球に持ち帰ってから始まりました。
当時、耕作面積が小さく収穫量が少なかったことから、綿が材料のミンサー織りは貴重なものでした。また、大変な手間がかかる、華やかな意匠の織物であったため、王族と貴族のほかは、織物が作られていた読谷村の住民のみが身につけられました。
琉球王府御用達に指定されてから、織りの技術はさらに高められていったのです。
明治時代中期に入ると、織物自体が衰退し、読谷山ミンサーの生産は途絶えてしまいました。
しかし、技術がほぼ忘れられていた頃、当時のことを良く知っている愛好家によって再びミンサーの技術を蘇らせようとする気運が高まったのです。残っていた祭り衣装や当時のことを良く知っているお年寄りの話をもとに復活への道を進んでいきました。
そして、染織家の与那峯貞と村の人々により、1964年におよそ10年の歳月をかけて読谷山ミンサーが蘇ったのです。一度は失われたミンサーの技法が復活したのは、読谷村の人々の情熱と努力によるものといえます。
竹串で丁寧に模様を織り出した読谷山ミンサーの特徴
読谷山ミンサーは先染めの綿のかすり糸を素材とした織物で、南国特有の色彩に満ちた柄模様が特徴。
ミンサーの技法や模様は地域により異なります。
読谷山ミンサーは、手で一つひとつ縛る手括りという手作業で染めた絣糸(かすりいと)が材料です。
グーシバナという技法で、竹串で浮かせたい部分の経糸をすくって模様をつくっていきます。
模様の柄はグシバナ、かすり、綜絖花(そうこうはな)など。
ミンサーの魅力はこれらの基本の柄に縞模様や格子を自由に組み合わせて織りあげられるところです。色糸で浮き出す紋様の美しさが人気となっています。
染料には、主に沖繩の伝統染織に欠かせない琉球藍や、車輪梅、福木といった、自生する植物を使用。天然ならではの独特な色合いが魅力です。
読谷山ミンサーの基本は藍染めですが、色鮮やかで華やかなデザインのものが多くみられます。
読谷山ミンサーでつくられたコースターやストラップなどの小物は、お土産にもおすすめです。
読谷山ミンサーの現代での使われ方とお手入れ方法
現代でも南国情緒あふれる着物や帯などに用いられていますが、気軽に暮らしに取り入れやすい小物も数多く作られています。
ネクタイ、ストールをはじめ、手ぬぐい(ティーサージ)、ポーチ、コースター、テーブルセンター、携帯ストラップ、お守りなどもあり、沖縄観光のお土産として人気です。
手ぬぐいは昔から想いを込めて好きな人のために織って贈っていたといわれています。現在もお土産として販売されています。
コースターはコップ用としてだけではなく、琉球ガラスや花瓶のマットとして使用するのもおすすめ。また、フォトフレームに色鮮やかなコースターを入れて飾ると、お部屋にアクセントを添えるインテリアになります。
ミンサー織りの普段のお手入れは、それほど面倒ではありません。水を含ませてしっかりと絞ったタオルで拭いて、そのあと乾いたタオルで水分を取ってから乾かしてください。
ミンサー帯のお手入れも基本的に同様ですが、汚れが目立つような場合は着物と同じくドライクリーニングに出しましょう。
ミンサー帯は巾の狭い細帯ですが、夏に使用すると汗をかくため、帯までぐっしょりすることがあり、放っておくと汗ジミになります。そのため、夏場は着用後軽く拭いて、しっかり乾かしておくことがポイント。ワンシーズンに一度はドライクリーニングに出すのがおすすめです。
なお、コースターに飲み物のシミが付いたときは、乾かないうちに、すぐに水につけて軽く揉んで洗います。そのあと、乾いたタオルの間に挟んで水分を取り、干せばOKです。
読谷山ミンサーの見学・体験ができる場所
伝統工芸総合センター(読谷山花織事業協同組合)
所在地 | 沖縄県中頭郡読谷村座喜味2974-2 |
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電話番号 | 098-958-4674 |
定休日 | 不定休 |
営業時間 | 9:00~17:00 (土・日曜、祝日は10:00~) |
HP | http://www.yomitanhanaori.com/ |
備考 | 展示品の見学、コースター織り体験、お土産の販売 |
みんさー工芸館
所在地 | 沖縄県石垣市登野城909 |
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電話番号 | 0980-82-3473 |
定休日 | なし |
営業時間 | 9:00~18:00 |
HP | http://minsah.co.jp/store-information/ |
備考 | 製作工程などの見学、作品の展示、手織り体験、公式オンラインショップ |