畳とは
畳とは日本の気候や風土に適した床材で、日本独自に発達したものです。縦横の比率は2:1の比率でできています。
「畳床(たたみどこ)」・「畳表(たたみおもて)」・「畳縁(たたみべり)」の3つの部品からできており、天然のイ草や藁(わら)などを使用しているのが特徴です。また、近年では天然素材だけでなく変色しにくい人工の素材なども使用されています。
地域による大きさの違いがあるのも特徴で、代表的なものでは京間(きょうま)・中京間(ちゅうきょうま)・江戸間(えどま)・団地間(だんちま)があります。それぞれの種類ごとに大きさは異なりますが、縦横の比率はどれも変わらず2:1です。
ちなみに、畳に使用されているイ草には空気を清浄化する働きがあり、畳の香りにはリラクゼーション効果もあることが証明(※)されています。
※出典:熊本県いぐさ・畳表活性化連絡協議会
日本独自の文化「畳」は奈良時代から
「畳」は日本独自の文化として発達してきたものです。畳の歴史は古く、奈良時代に書かれた日本最古の歴史書「古事記」には、畳の原型となる「菅畳」(すがたたみ)・「皮畳」(かわたたみ)・「絹畳」(きぬたたみ)の記述があります。
【年代とともに変わる畳の形】
古事記に記述されている当時の畳は、藁を加工して敷物と重ねたものだと推測されています。現在残されている最も古い畳は、奈良の正倉院(しょうそういん)に保管されている、御床畳(ごしょうのたたみ)で、現代の畳に近い製法で作られています。
現在のような形になったのは平安時代なってからですが、当時は身分により柄や大きさなどが定められており、部屋の一部に置いて使われていました。
【畳文化の発展】
畳が本格的に普及したのは、鎌倉時代から室町時代です。それまではお客のもてなしなどに使用し、武士や貴族の権力・富の象徴として使われていました。室町時代になると、部屋全体に敷き詰める床材として使われるのが一般的になります。江戸時代には茶道などの発展により、徐々に町民の家にも畳が敷かれるようになりました。
しかし、身分差による風習がなかなか抜けなかったため、庶民に普及したのは江戸時代中期以降でした。この頃には、畳師・畳屋といわれる職人が登場して活躍し始めます。
明治以降は柄や大きさなどの規制もなくなり、一気に庶民へと広がりました。この頃になると一般的に畳が使われるようになったので、表が日に焼けたら裏返すなど、長く使うための工夫もされるようになります。
【近代の畳】
昭和に入ると戦後の欧米化により生活の洋風化が加速したため、和洋折衷の住宅が増えました。さらに時代が進むと和室に正座する生活から、椅子やソファーに座るような生活へと徐々に変わっていきます。
昭和の中ごろには団地やニュータウンなどの建設ラッシュになり、畳の重要が高まります。しかし、和室を作る際の障子や建具などにコストが掛かるため、コストの安いフローリングの需要が一気に高まりました。
フローリングの需要が多くなった半面、フローリングの断熱性や防音性の低さといったデメリットも見えてきたために、再び畳の良さが見直されてきています。最近では和室をわざわざ作る人もいるほど、畳の需要が高まっています。
断熱性や防音性に優れる畳の特徴
畳の材料として使われているイ草は中がスポンジ状になっており、空気を多く含むことができます。そのため、断熱性・保湿性に優れているのが特徴です。弾力性もあるので転倒したときにも比較的安全で、音や振動だけではなく水分まで吸収してくれます。
空気は熱を伝えにくいので、夏は涼しく冬は暖かいのも畳の魅力です。四季のはっきりとした日本に適した床材だというのが、最大の特徴といえるでしょう。
【畳の空気清浄化作用】 ※
主な材料であるイ草には、有害な物質である二酸化窒素を吸着して空気を浄化する働きがあると分かっています。また、別の研究ではシックハウスの原因であるホルムアルデヒドも吸着することも分かっているようです。
【香りによる効果】※
さらにイ草には、鎮静効果があるともいわれています。ある研究によると畳の部屋では集中力が上り、学力が上がるとの結果も出ているそうです。
※出典:熊本県いぐさ・畳表活性化連絡協議会
現代での使われ方とお手入れ方法
平成に入ってからは和室の少ない高層ビルなどが増え、畳の需要が一気に減ってしまいました。その後も洋室を好んで作る人が増え、畳の需要はますます減ることになります。
しかし、現在ではイ草を使わない畳表や、フチなし畳などのスタイリッシュなデザインのものが登場し、さまざまな形の畳が作られています。和室が減りつつある時代背景に合わせ、いろいろな工夫をしながら伝統的な技術を継承しているのです。
畳のお手入れの方法には1年目と2年目以降で、やり方に違いがあります。新調したばかりの畳にはイ草の栄養が残っており、その栄養からカビが生える可能性あるからです。買ったばかりでカビを発生させないためには、日々のお手入れが重要になります。湿度の調節や、こまめに掃除機をかけましょう。
2年目以降はイ草が日焼けするため、カビが発生ししにくくなります。もしカビが生えてしまった場合は、乾燥させてから掃除機などでカビをとると良いでしょう。また、消毒液などで拭き取るのがおすすめです。
畳の見学・体験ができる場所
畳工芸美術館
所在地 | 茨城県高萩市赤浜石内1915番地茨城県畳高等職業訓練校 |
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電話番号 | 0293-22-5066 |
定休日 | 年末年始・お盆など |
営業時間 | 9:00~17:00(入館は16:00まで) |
HP | http://www.tatami.school-info.jp/bijutu/index.html |
備考 | 館内見学 |
畳工房大和
所在地 | 広島県福山市引野町4-9-40 |
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電話番号 | 084-940-3886 |
定休日 | 不定休 |
営業時間 | 9:00~17:00(入館は16:00まで) |
HP | http://www.tatami.school-info.jp/bijutu/index.html |
備考 | ミニ畳・畳小物作り体験、商品購入など |