大阪欄間とは
大阪欄間(おおさからんま)とは、大阪市、吹田市、岸和田市などの地域で作られている工芸品です。欄間は日本家屋の天井と鴨居の間に採光や換気などを目的に取り付けられるのが一般的でした。
彫刻欄間、透かし彫刻欄間、筬(おさ)欄間、組子欄間など、7種類の技法がありますが、どれも落ち着いた美しさがあります。特に、図柄を立体的に彫って浮き上がらせる彫刻欄間は、大阪欄間の代表格です。大阪欄間は次第に華美な細工が施されるようになり、室内装飾として生まれ変わってきました。
大阪欄間は、大阪府内で最初に国から伝統的工芸品に指定されました。
300年の時を超え現代に引き継がれた伝統技法「大阪欄間」
大阪欄間の起源は、1604年頃といわれています。大阪府内の聖神社や重要文化財四天王寺などに伝統技法の原型が見られます。
当時大阪の堀江・横堀の川沿い一帯が木材の集散地であったことから、欄間づくりが盛んになりました。周辺には多くの木材問屋があり、木工職人が職人町を形成し、欄間の職人もその中で腕を競い合っていたのです。
当時商業の中心であった大阪には、堺を中心に富を得た商人が多数存在していました。消費地として立地に恵まれていたことも、欄間の需要につながり、大阪で欄間づくりが盛んになった理由です。
当初、欄間はお寺や貴族階級の屋敷に、権威を表す手段の一つとして用いられていました。江戸時代になると、商家を中心に、一般庶民の住宅にも広く普及。茶の間や客間の鴨居(かもい)の上に、採光と風通しを良くする実用性から取付けられ、品格のある室内装飾としても人気がありました。
江戸時代後期になると、贅沢を禁止する法が出されたため、豪華爛漫な彫刻は一転して製造不可となりました。そこで、透彫などのシンプルな欄間の製造へと変わっていったのです。
江戸時代が終わった後も、戦前まで職人町は堀江・横堀に残っていましたが、戦災により離散しました。しかし、戦災から徐々に復興し、職人たちが戻り、現在ではおよそ30の企業が生産を続け、昔からの大阪欄間の伝統を守り続けています。
実用性と装飾性が両立した大阪欄間の特徴
大阪欄間の特徴は、日本家屋にふさわしい装飾性と通気の機能性を備えていることです。技法にはさまざまな種類があります。
彫刻欄間は、屋久杉の木目を生かし、図柄を立体的に彫り出した技法です。他のものと比べると、表現の幅が広く、欄間の題材は植物や動物、風景など自由に選べます。立体感があるので、板を厚くすることで表と裏で図を変えることも可能です。
透かし彫欄間は、杉や桐などの薄い木を用い、いろいろな図柄や形を透かし彫りした技法で、切り抜き欄間とも呼ばれます。彫刻欄間より素朴な印象のある欄間です。
そのほかに、組子欄間、筬(おさ)欄間、節抜(よぬき)欄間などがあります。
組子欄間の組子とは、木を幾何学的な文様に組み付ける技術のことです。桟を格子状に組みつけ、その中に小さな木の部品をはめ込み、幾何学模様を表しています。
筬欄間は、書院造りなどで用いられる技法です。縦の桟を多く入れ、横の桟を中央部分に三筋と、上下に一筋ずつ入れた欄間です。形が機織りに使う筬という道具に似ていることから筬欄間と呼ばれています。
これらの欄間はどれも換気の機能性に優れているだけでなく、装飾的にも日本家屋に相応しい、品格のある美しさを演出しています。
長年にわたって磨かれ蓄積されてきた大阪欄間の高度な技術と技法により、杢目の独特の模様を活かした室内調度品の数々が生産されてきました。
町人文化が育ててきた多種多様な大阪欄間は、現代では、マンション向けにシンプルなデザインの欄間も生産するなど、時代のニーズに合わせ、進化し続けています。
大阪欄間の現代での使われ方とお手入れ方法
大阪欄間は現代では、日本の伝統を感じるインテリアとして使用されています。玄関先に置けば、お客様のお出迎えにも華やかさを添えるでしょう。シューズボックスなどの上において、鍵などを入れておくのにも最適です。
昔から桐箱は美術品や着物などの保管に使われてきました。桐箱の実用性と装飾の美しい欄間の特徴を活かしてつくられた大阪欄間の桐箱は、軽く持ち運びしやすいのが特徴です。
リビングルームの棚や書斎の机の上に置いて、小物を収納するケースとしても使われています。大阪欄間の技術を施した使いやすいサイズの箱ならば、デスク回りの整理にも役立つでしょう。散らかりやすい小物類や文房具を収納するケースとして使用でき、サイズによってはペンケースにもなります。
大阪欄間は日本の文化を伝える昔からの縁起物なので、誕生日や結婚祝いなどのプレゼントとしても最適です。
欄間には手垢がつくことは少ないですが、桟の隙間に細かいホコリがたまっていることがあるので、まずハタキでホコリを払うことが必要です。
欄間は繊細につくられているため、傷つけないようにホコリを払うには、できれば、ハタキよりも、柔らかい筆型の毛バタキを使うことをおすすめします。
意匠が細かい彫刻欄間や組子欄間などの場合、効率的な方法はエアーダスターを使う方法です。エアーダスターはパソコンのキーボードの掃除などに使われる、ホコリを拭き飛ばすスプレーです。通販でも購入できます。エアーダスターを使用すると、欄間の細かい部分に付着したホコリも一気に取り除けます。ホコリは周囲に飛び散る可能性がありますので、マスクをして取り掛かりましょう。
また、白木は塗装されていないので、水分や油分がついてしまうとシミが残ることがあります。欄間のお手入れは乾拭きが基本ですので、水拭きしたり、化学雑巾を使ったりするのは避けましょう。
大阪欄間の見学・体験ができる場所
大阪欄間工芸協同組合事務所
所在地 | 大阪府摂津市鳥飼本町 |
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電話番号 | 072-646-8470 |
定休日 | 毎週火曜日・木曜日・土曜日・日曜日・祝日 |
営業時間 | 10:00〜16:00 |
HP | http://www.kougei-or.jp/ranma |
備考 | ミニ欄間の制作体験:体験料3,000円便利板の制作体験:体験料1,500円 |
木下らんま店
所在地 | 大阪府摂津市鳥飼野々1-27-24 |
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電話番号 | 072-654-4152 |
定休日 | なし |
営業時間 | 8:00~18:00 |
HP | http://ranma-ya.sakura.ne.jp/ |
備考 | ミニ欄間の制作体験:体験料3,000円便利板の制作体験:体験料1,500円 |