広島仏壇とは
広島仏壇とは、その名の通り広島県を中心に作られている金仏壇(きんぶつだん)です。金仏壇とは外側は全体的に黒色で、内側に金箔が貼られている仏壇を指します。荘厳な雰囲気が特徴的で、寺をそのまま小さくしたようなイメージです。
黒と金で作られた金仏壇は浄土の世界を表しているとされており、主に浄土真宗で使われています。また、金仏壇は内側に使われている金箔の量や、繊細な美しさを作り上げる技術の高さによって値段が決まります。中でも広島仏壇はふんだんに金箔を使い、細やかな彫刻が施されているため高価な商品です。広島仏壇の製造工程は7つに分けられていますが、ひとつひとつの工程を専門の職人が分業しています。1つの仏壇を作り上げるのに、何人もの職人が携わっているのも広島仏壇の特徴といえるでしょう。浄土真宗信仰が盛んだった土地で作られる広島仏壇
もともと広島県は浄土真宗が盛んだったため、古くから金仏壇を製作していました。広島仏壇のはじまりは江戸時代初期で、紀州から渡ってきたさまざまな技術が起源とされています。
浅野長晟(あさのながあきら)が幕命によって紀州から広島県に領地を移した際、一緒についてきた職人たちが漆物や金物細工、桧物細工(ひもの)といった高度な技術を広島県へと受け継ぎます。それらの高度な技術をもとに、敦高(とんこう)と呼ばれる僧が京都府や大阪府で仏壇作りを学びました。敦高によって広島県に持ち帰られた高度な技術を生かし、広島仏壇の技術や技法が確立されたといわれています。明治時代に入ると、瀬戸内海などの海を利用した水運が発達し、広島仏壇は全国へと知れ渡っていきました。【第二次世界大戦による壊滅的打撃】
江戸時代初期からに高度な技術を使って作られてきた広島仏壇ですが、昭和に入ると第二次世界大戦の影響を大きく受けてしまいます。それまで順調に成長してきた広島仏壇でしたが、戦争によって受けたダメージは小さなものではありませんでした。しかし、戦後はそれまで培ってきた技術を活かし、さらなる発展をしていきます。
【伝統工芸品指定は1978年】
戦争にも負けずに技術を継承してきた広島仏壇は、1978年に経済産業省指定の伝統的工芸品に指定されました。長い歴史を持つ広島仏壇ですが、現在でも長く愛され続けています。
製造工程を担う「七匠」がキーワードの広島仏壇
広島仏壇は、大きく分けて7つの工程があります。それぞれの工程を担当する専門の職人を、「七匠(ななしょう)」を呼んでいるのが大きな特徴です。広島仏壇は製造工程が多いだけでなく高度な技術も必要になるため、それぞれの工程を専門の職人が担当する必要があります。
七匠は木地師(きじし)・宮殿師(くうでんし)・狭間師(さまし)・須弥壇師(しゅみだんし)・塗師(ぬし)・錺金具師(かざりかなぐし)・蒔絵師(まきえし)に分けられます。木地師はスギやヒノキを使って本体を作り、宮殿師は仏壇を置く宮殿を作るなど細かく担当が分かれているのが特徴です。形を作り、金具などを付けたあとは漆と金粉などを使って蒔絵を描きます。蒔絵は漆で下書きをし、その上から金粉をかけて仕上げる技法です。金粉を振りかけるタイミングが難しく、匠の技術を持った職人にのみ描ける美しさが楽しめます。最後に金箔を貼り、細かな部品などを組み上げると完成です。1つの仏壇を仕上げるのに短くとも2ヶ月かかるほど、どこを見ても精巧な作りをしています。【下地には牡蠣の殻を使用】
広島仏壇の特徴のひとつとして、下地に牡蠣の殻を砕いた粉である「胡粉下地(ごふんしたじ)」を使用している点があげられます。広島県といえば牡蠣を思い浮かべる方も多いですが、伝統工芸品にも使われているとは驚きです。
現代での使われ方とお手入れ方法
広島仏壇は現代でも多くの職人によって作られています。限られた職人にしか作れないため、価格は高価ですが、人気が高い仏壇として知られています。
仏壇は丁寧にお手入れをしている方も多いですが、正しいお手入れ方法を知っている人は意外と少ないです。特に広島仏壇は金箔や金粉を使った金仏壇なので、間違ったお手入れ方法をしてしまうと表面の美しい模様が剥がれてしまう可能性もあります。基本的には乾いた布で優しく拭き上げ、傷を付けないようにお手入れをします。濡れた布で金箔や金粉の付いたところを拭いてしまうと、剥がれて汚くなってしまう場合もあるので注意してください。また、仏壇を掃除する際はご本尊や仏具などを取り出す必要があります。やみくもに取るのではなく、掃除したい旨を仏壇に断ってから取り出すのがおすすめです。慣れない方が掃除するときは、掃除前の状態を写真に収めておくと安心。仏具やご本尊の配置などを記録しておくと、掃除したあとにスムーズにもとに戻せますよ。自分で落とせない汚れが付いてしまったときは、無理をせずに専門の業者に頼むのがおすすめです。広島仏壇を販売する店舗の中には、メンテナンスや修理をしてくれるところもあります。購入の際は、あわせてチェックしておくと良いですよ。広島仏壇の見学・体験ができる場所
株式会社 高山清
所在地 | 広島県広島市中区堀川町2-17 |
---|---|
電話番号 | 082-241-5058 |
定休日 | お盆・正月 |
営業時間 | 10:00~18:00 |
HP | https://www.takayamakiyoshi.com/#handmade |
備考 | 販売・見学・体験(黄金鉛筆づくり) |
株式会社 木原仏壇店
所在地 | 広島市中区十日市町2丁目5-2 |
---|---|
電話番号 | 082-231-3875 |
定休日 | 不定休 |
営業時間 | 8:30~17:30 |
HP | https://www.kihara-butudan.com/ |
備考 | 仏壇の購入・修繕など |